歯と口のトラブル

スマホの使いすぎで食いしばりが悪化!?知らずに歯にダメージを与えていませんか?

スマホの使いすぎで食いしばりが悪化!?

スマホ使用時の「無意識の食いしばり」、気づいてますか?

最近、「スマホを見ているときに無意識で歯をグッと噛みしめている」という患者さんの声が増えています。実はこれ、“食いしばり”と呼ばれる現象で、無意識のうちに歯やあごに大きな負担をかけていることがあるんです。

スマホの使い方によっては、首や肩の筋肉が緊張し、それが顎の筋肉にも影響を及ぼしやすくなります。結果として、気づかぬうちに食いしばりを起こしやすい状態になっているんです。

食いしばりがもたらす身体とお口の深刻なダメージ

食いしばりが続くと、口腔内だけでなく、全身にもいろいろな悪影響が…。

▼代表的なダメージ

歯のすり減り・破折
→ 強い力で歯を擦り合わせることで、歯がすり減ったり、欠けたりします。

被せ物や詰め物の破損
→ 治療した部分に負担がかかり、被せ物や詰め物が取れる・割れることも。

顎関節の不調(顎関節症)
→ あごの関節に痛みや音、開けにくさなどが出てきます。

頭痛や肩こりの原因にも
→ 顎の筋肉がこわばることで、頭部〜首・肩にかけての不調に繋がることもあります。

こうしたトラブルは「なんでこんなことに?」と思うほど、日常的な癖が原因だったりするんです。

スマホ中の姿勢や集中によって起こる「歯にかかる圧力」とは?

スマートフォン

スマホを操作しているとき、次のような姿勢になっていませんか?

  • 下を向いた猫背姿勢で長時間操作
  • 無言でSNSやゲームに集中
  • 口を閉じて無意識に力が入る
  • 寝ながら横向きで画面を凝視

このような状況下では、舌の位置が下がったり、上下の歯が接触しやすくなります。

その結果、

顎まわりの筋肉に緊張が走り

自然に歯を食いしばってしまう
という悪循環に。

無意識下の食いしばりは、気づいた時にはかなり進行していることも多いのがやっかいな点です。

スマホの使用が食いしばりを起こすメカニズム

スマホの使用

スマートフォンの使用と俯き姿勢が「TCH(Tooth Contacting Habit:歯列接触癖)」を引き起こしやすいメカニズムとして、以下のような点があげられます。

姿勢の変化と顎への負担

スマートフォンを操作するために頭部を前に傾け、俯く姿勢をとると、首や肩に負担がかかるだけでなく、下顎の位置が不安定になりやすくなります。この不安定さを補うために、無意識のうちに上下の歯を接触させたり、強く食いしばったりすることがあります。

集中による無意識な食いしばり

スマートフォンに集中するあまり、他の作業と同様に、無意識のうちに歯を食いしばってしまうことがあります。

「スマホ顎関節症」という言葉

スマートフォンが普及して以降、顎関節症を訴える人が増加傾向にあることから、「スマホ顎関節症」という言葉も生まれ、歯科業界ではこの関連性が注目されています。

スマホの使用時に食いしばりを起こさないために気をつけたい姿勢とは?

NGな姿勢:これ、やってない?

以下のような姿勢は、食いしばりの原因になりやすいので要注意!

猫背になってスマホを下に構える
→ 首が前に突き出て、顎に不自然な負担がかかる

首をうつむいたまま長時間見る
→ 首まわりの筋肉が緊張し、咬筋(顎を動かす筋肉)もこわばる

ソファやベッドに寝そべって見る
→ 頭と首の位置がズレて、左右の筋肉バランスが崩れる

肘をついて、手であごを支える
→ 顎に圧がかかり、無意識に噛みしめやすくなる

これらはどれも、「口を閉じたまま力が入りやすくなる姿勢」で、食いしばりのスイッチをONにしやすいといえます。

OKな姿勢:食いしばり予防のコツ!

▼おすすめのポイント

スマホの画面は目の高さに近づける
→ 首が前に出ないようにすることで、顎周りの筋肉の緊張を軽減できます。

背筋を軽く伸ばす(反りすぎない自然な姿勢)
→ 背中をまっすぐに保つことで、首や肩、顎にかかる負担を減らします。

足は床にしっかりつける
→ 体全体を安定させることで、無駄な力みを防ぐことができます。

口を閉じていても「歯と歯は離しておく」
→ 唇を閉じたままでも、上下の歯は接触しないのが正しい状態。舌は上あごの裏側につけておくのが理想です。

姿勢と意識で未来の歯を守ろう!

スマホ操作中って、集中しちゃうからこそ姿勢が崩れがち。
でもその積み重ねが、顎関節症や歯の摩耗につながってくるからこそ、「今すぐ姿勢の見直し」がめちゃくちゃ大事なんだよね!

ポイントは、”スマホの位置を上げること“と”歯をくっつけないこと“!
この2つを意識するだけでも、食いしばりリスクはグッと減らせますよ。

スマホ使用中の食いしばりを防ぐためにできること

以下のような工夫を取り入れることで、食いしばりのリスクを下げられます。

▼すぐにできる対策

・意識的に歯と歯を離す
上下の歯が「接触していない状態」が正解。力を抜いて口を軽く開けましょう。

スマホを見る姿勢を見直す
画面は目の高さに、猫背にならないよう意識するだけでも大きな違い。

集中しすぎない環境をつくる
タイマーを使って定期的に休憩を取るのも効果的。

就寝前のスマホは控えめに
スマホによる緊張を避けて、夜間の食いしばりリスクを軽減。

これらの対策はすべて、「筋肉の緊張をほぐし、噛みしめの癖を和らげる」ことが目的です。
特に姿勢改善と意識づけはとっても重要ポイント!

「スマホ顎関節症」とは:現代病ともいえる顎の不調

「スマホ顎関節症」とは、スマートフォンの長時間の使用が要因となって引き起こされる、あるいは悪化すると考えられている顎関節症の俗称です。医学的な正式名称ではありませんが、スマートフォンの普及に伴い増加傾向にある顎の不調を表す言葉として広く認識されています。

顎関節症は、顎の関節やその周辺の筋肉に異常が生じる疾患の総称で、「口を開け閉めする際に顎が痛む(開口時痛)」「顎を動かすとカクカク、ジャリジャリといった音が鳴る(関節雑音)」「口が大きく開けられない(開口障害)」といった主な症状が現れます。

では、なぜスマートフォンの使用がこれらの顎の症状と関連するのでしょうか。主なメカニズムは以下の通りです。

  • 前傾姿勢、猫背などの不適切な姿勢
  • 姿勢が悪いことで顎周辺の筋肉が緊張する
  • 俯き姿勢で下顎が不安定になることを補うために歯列接触癖(TCH)が誘発される
  • 不適切な姿勢を続けると関節円板がずれることがある

近年のスマートフォンの爆発的な普及、特にコロナ禍における在宅時間の増加やオンラインコミュニケーションの常態化に伴い、スマートフォンの使用時間が増加し、それに比例して顎関節症のような症状を訴える人が増えていることから、「スマホ顎関節症」という言葉で注意喚起がなされています。

顎の不調を感じる場合は、放置せずに歯科医師に相談することが重要です。適切な診断とアドバイスにより、症状の改善や悪化の予防につながります。同時に、日頃からスマートフォンを使用する際の姿勢に意識を向け、適度な休憩を挟むなどの対策をとることも、「スマホ顎関節症」の予防には不可欠といえるでしょう。

出典・参考サイト:日本歯科医師会、サンスター、デンタルダイヤモンド社

食いしばり対策は歯科医院でも相談できます

食いしばり対策は歯科医院でも相談できます

歯科医院では、以下のようなサポートが可能です。

マウスピースの作製(ナイトガード)
→ 夜間の歯ぎしりや食いしばりを軽減するために、専用のマウスピースを作ることができます。

かみ合わせのチェックと調整
→ 不正咬合や治療部位のバランスが悪いと、食いしばりが悪化することも。

生活習慣のアドバイス
→ 食いしばりの原因が日常に潜んでいる場合、それを見つけて改善するサポートも行っています。

「食いしばりぐらい大丈夫でしょ」と放置すると、歯やあごへのダメージが積み重なってしまいます。
気になったときこそ、歯科医院を頼ってくださいね!

気になったら、まずは健診を受けてみましょう!

もし「あれ?もしかして私、スマホ中に食いしばってるかも…?」と思ったら、
まずは歯科医院での健診を受けてみましょう。

食いしばりや噛みしめによって歯が擦り減っているかどうか、または歯ぎしりをしている等、歯に異常が起こっている場合は、歯科医師や歯科衛生士のチェックで明らかに出来ます。

  • 歯の状態チェック
  • 顎の動きやかみ合わせの確認
  • 食いしばりの傾向の分析

など、プロの視点であなたの口腔内をチェックしてもらうことができます。

自分では気づきにくい食いしばりも、早めの対処でトラブルを未然に防ぐことができますよ!

まとめ

スマートフォンの使用は、知らぬ間に姿勢や筋肉の使い方に影響し、「食いしばりを起こしやすい」状態を作ってしまいます。
そのまま放っておくと、歯や顎、筋肉にまで負担がかかってしまうため、小さな違和感のうちに対策を始めることが大切です。

マウスピースの活用や生活習慣の見直し、歯科医院での健診など、できることから始めてみましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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