歯と口の基礎知識

歯磨きとマウスウォッシュ、順番はどっちが先?効果的な口腔ケアの基本

歯磨きとマウスウォッシュ、順番はどっちが先?

「歯磨きとマウスウォッシュ(洗口液)、どっちを先に使えばいいの?」と疑問に思う方は多いかもしれません。結論から言うと、基本的には「歯磨きが先」で「マウスウォッシュは後」です。この順番でケアすることで、虫歯や歯周病の予防効果がより高まりやすくなります。

この記事では、毎日の口腔ケアをより効果的にしたいと考える患者さんに向けて、正しい順番とその理由、そして具体的な方法について丁寧に解説します。

基本は歯磨きが先、マウスウォッシュは後

要約:歯垢を物理的に落とした後でマウスウォッシュを使うと、成分が口腔内にしっかり届く。

歯磨き後にマウスウォッシュを使うのが基本です。

歯磨きは、歯垢や食べかすなどの汚れを物理的に除去するケアの基本です。そのあとにマウスウォッシュを使うことで、有効成分が口の中に行き渡りやすくなります。この順番で行うことで、より清潔で健康な口腔環境を保ちやすくなるのです。

順番の違いによる効果の比較

ケアの順番 メリット デメリット
歯磨き → マウスウォッシュ 成分が浸透しやすく、虫歯・歯周病予防効果が高まる 基本的に推奨されるが、手間がかかると感じる人も
マウスウォッシュ → 歯磨き スッキリして歯磨きしやすくなる 成分が歯磨きで流れてしまうため効果が弱まる可能性

この表を活用して、自分のライフスタイルや使用している製品に合った順番を選びましょう。

歯垢の除去と成分の浸透力の違い

要約:歯磨きで物理的に歯垢を落とし、マウスウォッシュで殺菌・コーティング効果を高めるのが理にかなっています。

歯磨きとマウスウォッシュは役割が違います。

  • 歯磨き → 歯垢や食べかすを物理的に落とす。
  • マウスウォッシュ → 殺菌や口臭予防、有効成分のコーティング。

もし歯垢が残ったままマウスウォッシュを使っても、有効成分が歯の表面に届きにくくなります。まず歯磨きで表面をクリアにしておくことで、マウスウォッシュの成分がより効果を発揮できるのです。

よくある使い方とその問題点

マウスウォッシュを先に使うことで満足し、歯磨きが不十分になることもあります。

順番を間違えると逆効果になることもあります。

例えば「朝起きたばかりで時間がないから、マウスウォッシュだけで済ませている」という患者さんもいます。しかしこれは、歯垢を落とせていない状態で表面だけを殺菌しているようなもの。口の中の菌の住処をそのままにしていることになり、意味が半減してしまいます。

口腔ケアの目的を見直そう → 歯磨きとマウスウォッシュの役割を理解することが第一歩

目的を理解すれば、順番に迷わなくなる!

それぞれの役割を知ることで、納得して使い分けできます。

毎日なんとなく使っている歯磨きやマウスウォッシュも、「何のために使っているのか?」を意識することで、ケアの質がぐっと上がります。

それぞれの目的は以下のとおりです。

  • 歯磨き → 歯垢や食べかすなどの物理的な汚れを落とす
  • マウスウォッシュ → 殺菌・抗炎症・口臭予防・フッ素コーティングなど

つまり、歯磨きで「汚れを落とす」、マウスウォッシュで「仕上げをする」というイメージです。どちらか一方ではなく、ダブル使いがベスト。その順番を守ることが、より高い効果を引き出すポイントです。

「歯磨きだけで十分」という考え方はもう古い?マウスウォッシュの活用が現代のスタンダードに

現代ではマウスウォッシュも歯科医がすすめる習慣になっています。

歯磨きだけではカバーしきれない部分があるからです。

マウスウォッシュは「おまけのケア」だと思っている患者さんも多いかもしれません。でも最近では、歯科医師や歯科衛生士からも「仕上げの洗口液」をすすめられることが増えてきました。

理由は以下のとおりです。

  1. 歯磨きでは届きにくい歯と歯の間、歯周ポケットにも殺菌成分が届く
  2. 磨き残しの部分にも効果を補完できる
  3. 朝の起床時や、夜の就寝前の菌の繁殖を抑える

特に歯周病予防をしたい方、口臭が気になる方、矯正中の患者さんなどは、マウスウォッシュの併用がとても有効です。

よくある誤解:「マウスウォッシュを使えば歯磨きは不要?」

マウスウォッシュだけでは歯垢は落ちません。歯磨きと併用が必須です。

マウスウォッシュは“補助的ケア”です。

市販の洗口液のCMを見て「これ1本で完璧にお口スッキリ!」と思ってしまうこともありますが、そこには注意が必要です。どれだけ高機能なマウスウォッシュでも、「歯垢をこすり落とす力」はありません。

例えるなら…

  • 歯磨き=お風呂で体を洗う行為(汚れを物理的に落とす)
  • マウスウォッシュ=その後のスキンケア(殺菌・保湿・仕上げ)

どちらか一方では、清潔さも、健康維持も中途半端になってしまうのです。マウスウォッシュを活かすには、必ず歯磨きとセットで行いましょう。

マウスウォッシュを先に使うケースもある?

歯磨き前にマウスウォッシュを使うと、口腔内がさっぱりして歯磨きしやすくなることも。

順番を変えても良い場合もあります。

一部のマウスウォッシュ(「プレブラッシング用」と書かれているタイプ)は、歯磨き前に使うことで口腔内を清潔にし、歯磨きしやすくする目的があります。

  • 口臭が気になる朝のケア
  • 食後すぐに歯磨きができない外出先
  • 歯磨き前に細菌数を減らしたいとき

などは、マウスウォッシュを先に使っても構いません。

ただし、「フッ素入り」のマウスウォッシュを使った後は、水でうがいしないようにしましょう。成分を長く口の中に留めることが重要です。

製品の種類によって推奨される順番が変わることもある?

「プレブラッシング用」など、使い方が明記されている場合はそれに従うのが正解。

製品ごとの使い方もチェックしてみましょう。

マウスウォッシュにはいくつか種類があります。

  1. 一般的な洗口液(歯磨き後に使う)
    →殺菌成分やフッ素が入っており、仕上げ用として設計されています。
  2. プレブラッシングタイプ
    →歯磨き前に使用し、歯垢をゆるめたり、磨きやすくすることが目的。
  3. ノンアルコールタイプ
    →刺激が少ないため、口内炎がある方やお子さまにも使用しやすい。

使用する製品のラベルを確認して、推奨されている使用タイミングに従うことも大切です。

まとめ

あなたに合った正しい順番で、毎日をもっと快適に

基本は“歯磨き→マウスウォッシュ”だけど、製品や状況に合わせてアレンジしてOK。

正しい順番で使えば、あなたの口もとの健康はもっと守れます。

歯磨きとマウスウォッシュ、どちらも大切なアイテムです。間違った順番では効果が薄れてしまうこともあります。大切なのは「汚れを落としてから、有効成分を届ける」という流れを意識すること。

わからない場合や製品に迷ったときは、かかりつけの歯科医院で相談してみましょう。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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