歯と口のトラブル

舌をよく噛んでしまう原因と対策

舌をよく噛んでしまう原因と対策

舌を噛んでしまう悩み、放っておくとどうなる?

「また舌を噛んじゃった…」そんな経験、ありませんか?食事中だけでなく、会話中や寝ている間にも舌を噛んでしまうことがあると、痛いだけでなく、日常生活の質も落ちてしまいます。

軽度であれば自然治癒することもありますが、繰り返すと舌に傷や炎症ができ、次第に口内炎や慢性的な痛みに発展してしまうケースもあります。

繰り返し噛むことで起きる口内トラブル

舌を頻繁に噛んでしまうと、以下のようなトラブルが起こりやすくなります。

舌の傷や潰瘍
→ 同じ箇所を繰り返し噛むことで、傷ができたり潰瘍化することがあります。

慢性的な口内炎
→ 傷口が治りきらないまま再び傷つけてしまい、炎症が慢性化するリスクがあります。

話しづらさ・食べづらさ
→ 痛みで舌の動きが制限され、発音や咀嚼にも支障が出ます。

誤嚥リスクの増加
→ 舌の動きが悪くなると、飲み込みにくさが生じ、高齢の方では誤嚥のリスクも。

これらのリスクは、日常のちょっとした不快感から、全身の健康にも影響する可能性があります。

実際によくあるケースとその背景

舌を噛みやすい原因には、いくつかのパターンがあります。

不正咬合(歯並びやかみ合わせの乱れ)
→ 上下の歯の噛み合わせがずれていると、舌が挟まりやすくなります。

親知らずや奥歯のトラブル
→ 斜めに生えている親知らずや、ズレた被せ物・詰め物が原因で、舌が巻き込まれやすくなります。

顎関節症による顎のズレ
→ 顎の動きがスムーズでないと、舌が本来のポジションに収まらず、噛みやすくなります。

義歯の不適合
→ 入れ歯が合っていない場合、舌が当たって噛みやすくなることがあります。

疲労やストレス、睡眠中の噛みしめ
→ 無意識の食いしばりや睡眠時の歯ぎしりも、舌を巻き込む原因に。

これらは一見関係なさそうに見えても、舌の位置や動きに大きく関わっていることが多いです。

原因を知って改善へつなげる

舌を噛んでしまう方の背景には、次のような要因が潜んでいることが多いです。

歯並びやかみ合わせのズレ(不正咬合)
→ 舌が正しい位置に収まらず、話す・食べる動作で歯に当たりやすくなります。

舌の筋力低下や舌癖
→ 舌を常に歯に押し当てる癖や、正しい舌の置き方ができていないと、噛みやすくなります。

舌が大きい・口腔内が狭い
→ 舌が大きかったり、顎が小さい方は、舌が収まりにくく噛みやすい傾向があります。

歯科治療後の咬合の変化
→ 被せ物や詰め物の高さが合わないと、舌の動きに影響が出ることがあります。

これらの原因は、歯科での検査で確認できる場合もあります。自己判断せず、歯科医師に相談しましょう。

具体的な対策とケア方法

舌を噛んでしまう原因は人によって異なりますが、日常的に取り入れやすいケアや対策を知っておくと安心です。以下の方法をチェックして、自分に合ったものを試してみましょう。

1. 舌の正しいポジションを意識する

舌は「どこにあるか」で、噛みやすさが大きく変わります。

  • 正しい舌の位置は「上あごの前歯のすぐ後ろの歯ぐきあたり」です。
  • 舌の先端が軽く上あごについていることで、自然な状態になります。
  • 舌が常に下に落ちていたり、歯に触れていると、噛みやすくなります。

対策のポイント:
鏡を見ながら舌の位置を確認し、「正しい位置に戻す習慣」を身につけましょう。最初は意識的に行う必要がありますが、続けることで自然になります。

2. 舌の筋トレで“うっかり”を防止

舌の動きが鈍くなると、噛みやすくなるんだよね。そんなときに有効なのが舌のトレーニング(舌トレ)!

以下のようなエクササイズが効果的です。

あいうべ体操
口を大きく動かして「あ・い・う・べー」と発音。1日30回が目安。
→ 舌・唇・頬の筋肉が鍛えられ、口腔機能全体がUP!

舌の上下運動
舌を上あごにつけて、数秒キープ → 下に下ろしてまた数秒キープ。
→ 舌の可動域が広がり、無意識の動きにも対応しやすくなります。

ポッピング
舌を上あごに吸いつけて、「ポン!」と音を立ててはがす運動。
→ 舌の筋力アップと、正しいポジションの習慣づけに効果あり。

解説:
こうしたトレーニングは、口腔機能低下(オーラルフレイル)の予防にもつながります。とくに高齢の方や、話す・飲み込む機能に不安がある方には特におすすめです。

3. 噛み合わせ・被せ物・詰め物をチェック!

「最近、舌を噛むことが増えた…」という方は、歯の噛み合わせが変わっている可能性も!

被せ物や詰め物の高さが合っていない
→ ほんのわずかなズレでも、舌が巻き込まれやすくなることがあります。

親知らずが押して歯並びが乱れている
→ 奥歯がズレることで、舌のポジションに影響します。

矯正後・治療後に違和感がある
→ 調整不足や経年劣化による影響が考えられます。

解説:
違和感や変化を感じたら、歯科医院で「咬合チェック」を受けましょう。必要に応じて、被せ物・詰め物の高さや位置を微調整してもらうだけで、舌を噛む頻度がグッと減ることがあります。

4. 就寝時のマウスピース使用

「寝ている間に舌を噛んでしまう…」というケースには、ナイトガード(就寝用マウスピース)の使用が効果的。

  1. 歯ぎしりや食いしばりを軽減
  2. 舌や頬を噛むリスクを減らせる
  3. 顎関節症の予防にもつながる

ポイント:
市販のものもありますが、自分の口に合ったオーダーメイドのマウスピースを歯科医院で作ってもらうのが理想です。

5. 義歯や被せ物の不具合はすぐに調整を

合っていない入れ歯や古い被せ物は、舌を誤って噛みやすくする要因になります。

  • 義歯のバネが当たる
  • 被せ物がずれている
  • 詰め物が取れて舌が引っかかる

対策:
これらの不具合は、放置せずに早めに調整・再作製を。見た目には大丈夫そうでも、実際には微妙なズレが起こっていることも多いです。

日常の意識+歯科でのケアが大事!

舌を噛んでしまうのは「クセだから仕方ない」と思われがちですが、日常のちょっとした工夫と、歯科での専門的な対応を組み合わせることで、しっかり改善できるケースが多いです。

舌の筋トレやポジション意識といったセルフケアに加え、「かみ合わせ」や「被せ物のズレ」など、専門的なチェックも重要ポイント。
症状が続く場合は、自己判断せずに歯科医院へ相談することが、舌とお口全体の健康を守る近道です?

健診のすすめと専門的なサポート

舌を噛みやすい症状が続くようであれば、歯科での健診を受けて、原因の特定と適切な対応をすることが重要です。

特に以下のような場合は早めの受診をおすすめします。

痛みや傷が治らない

舌の傷が広がっている

話しづらい・飲み込みにくいと感じる

被せ物や詰め物の違和感がある

定期的な健診は、お口全体の健康維持にもつながります。

まとめ

舌を守るには、正しい知識と早めの対応がカギ!

舌を噛みやすい原因には、不正咬合や義歯の不適合、舌の癖など、さまざまな要因が関係しています。一時的なものと放置せず、原因を突き止めて適切なケアをすることが大切です。

歯科医院での健診や調整によって、多くのケースは改善が期待できます。日常の中で舌を守る意識を高め、健康なお口を保ちましょう!

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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