歯が生え変わるのはなぜか、乳歯から永久歯へ移り変わる仕組みについてご存じでしょうか。歯の生え変わりのメカニズムを詳しくは知らないという方も多いかもしれません。

歯の生え変わりは、誰もが成長の過程で経験する自然な変化です。乳歯から永久歯へと替わっていく背景には、体の発育が深く関係しています。子どもの小さなあごには小さな乳歯が合っていますが、成長に伴って、より大きくて丈夫な永久歯が必要になります。

この記事では、歯がどのようなしくみで生え変わるのかを、できるだけわかりやすく丁寧に解説していきます。

歯が生え変わる基本の仕組み

乳歯は全部で20本、永久歯は通常28本(親知らずを含めると32本)です。子どもの歯は、6歳頃から12歳頃にかけて成長とともに乳歯から永久歯へと一度だけ生え変わります。これは人間の発育において自然な現象で、誰もが経験します。では、歯が生え変わる基本の仕組みをご説明します。

歯が生え変わる仕組み

歯のもととなる歯胚(しはい)は、胎児期であるお母さんのお腹の中にいる頃から形成が始まります。生後8か月頃になると乳歯が生え、3歳頃までには上下左右あわせて20本の乳歯列がほぼ完成します。乳歯列が完成する時期には、咀嚼機能や嚥下機能が発達し、さまざまな食物に対応できるようになるとともに、全身の成長も進んでいきます。その後、成長に伴って顎骨が発育し、乳歯列の歯間には隙間がみられるようになります。

乳歯のままでは難しい理由

顎骨が大きくなると、乳歯の大きさや本数では発達した顎に十分対応できず、咀嚼機能の面でも限界が生じます。体の成長に伴い、顎の大きさや噛む力が変化するため、成長した顎骨に適した大きさと本数をもつ永久歯列へ移行する必要があり、乳歯は永久歯へと生え変わると考えられています。

人間以外の動物も同じ?歯の生え変わり事情

人間の歯は二生歯性(にせいしせい)と呼ばれ、哺乳類に多く見られる特徴です。では、人間以外の動物の歯の生え変わり事情もご紹介します。

一生歯性の動物

一生のうちに歯が一度しか生えない一生歯性(いっせいしせい)の動物もいます。ネズミやリス、ウサギなどがその例です。

多生歯性の動物

歯が何度も生え変わる多生歯性(たせいしせい)の動物もいます。これはワニなどの爬虫類に多く見られます。ワニは一生のうちに20回以上歯が生え変わるとされ、総数では約2000本もの歯が生えるともいわれます。1本の歯の下には次に生える歯が控えており、硬い獲物をしっかり噛み砕くために、丈夫な歯を常に保つ仕組みになっています。

なぜ歯は生え変わるのか?3つの理由

さて、なぜ人間の歯が生え変わるのかという理由を3つ挙げます。

  • 成長した顎の広さに合う大きな歯が必要
  • 食べ物をしっかりと噛むために強い歯が必要
  • 一生使う歯へと移行するため

子どもの顎は成長途中のため、最初から大人と同じ大きさの歯は入りません。そのため、まずは小さな乳歯が生え、後から永久歯に入れ替わる仕組みになっています。

乳歯から永久歯へ変わるプロセス

乳歯から永久歯への生え変わりは、体の中で静かに準備が進んでいます。6歳ごろになると、あごの中ではすでに永久歯が育ち始め、乳歯の下で成長し、根が形成されます。永久歯が成長すると乳歯の根を溶かす細胞が働き始め、乳歯の根が徐々に吸収され短くなっていきます。乳歯は根の支えがなくなりぐらぐらして抜け、その下から永久歯が徐々に生えてきます。

乳歯がなかなか抜けなければ、永久歯がうまく出てこられず、歯並びが悪くなることがあります。反対に、乳歯が早く抜けすぎても、永久歯が生える場所の目印がなくなり、違う位置に生えてしまうことがあります。

乳歯が果たす大切な役割

どうせ抜けるからと軽視されがちな乳歯ですが、とても重要な役割を持っています。乳歯の役割を挙げていきましょう。

[jin_icon_start color=”#d076a9″ size=”18px”]正しい発音を身につける
[jin_icon_start color=”#d076a9″ size=”18px”]食べ物をしっかり噛む
[jin_icon_start color=”#d076a9″ size=”18px”]永久歯の位置を誘導するガイド
[jin_icon_start color=”#d076a9″ size=”18px”]顎の成長を助ける

特に重要な役割が、永久歯の道しるべとなる役割です。乳歯により永久歯は正しい位置に生えてくることができます。

生え変わり時期に注意すべきポイント

歯の生え変わりの時期には、いくつか注意点があります。

お悩み 注意したいポイント
乳歯がなかなか抜けない 永久歯の位置がずれ、歯並びが悪くなる原因になる。
永久歯が変な位置から生えてくる 本来の位置に生えず、歯並びやかみ合わせに影響する。
歯並びが乱れている 生え変わりがスムーズに進んでいない可能性がある。
痛みや腫れがある 歯ぐきや歯にトラブルが起きているケースがある。
乳歯が早く抜けすぎた 乳歯という目印を失い、永久歯が正しい場所に生えないこともある。

乳歯の虫歯は放置してもいいの?

永久歯に生え変わるから乳歯の虫歯は大丈夫と考える方もいますが、これは大きな誤解です。乳歯の虫歯を放置するとどのような状態になるのか、順を追って説明します。

1.よく噛めなくなる

歯が痛い、もしくはしみる症状が出ると、子供はその位置で噛むことを避けてしまいます。よく噛めない状態で飲み込んでしまうと消化器官に負担を掛け、栄養も摂取しにくくなります。

2.発音に影響が出る

虫歯になった乳歯が抜けると、サ行、タ行、ナ行などで発音の不明瞭さ、発音のしにくさが生じます。虫歯で欠損した部分から発音時に息が漏れたり、舌の動きが通常通りではなくなるためです。

3.永久歯の歯並びが悪くなる

虫歯で乳歯を早期に失うと、歯並びに隙間が生まれます。隣接する歯が倒れ込んできて、永久歯の生える隙間がなくなることが多く、ガタガタした叢生(そうせい)という不正咬合になりやすいです。歯並びが悪くなれば歯磨きがしにくくなり、大人になってからも虫歯や歯周病になりやすくなります。

4.将来の虫歯リスクが高まる

生えたばかりの永久歯を幼若(ようじゃく)永久歯と呼びますが、未成熟でエナメル質が柔らかくデリケートな性質で、虫歯菌が多いお口の状態では、すぐ虫歯になってしまいます。また、虫歯になった歯の根元で炎症があるケースでは、永久歯の形成不全や変色を引き起こすため、早期治療と予防が不可欠です。

正しい歯並びを守るためにできること

子どもの歯を健康に保つためには、日常のケアがとても重要です。正しい歯並びを守るためには、このようなポイントを意識しましょう。

[jin_icon_tagcolor=”#d076a9″ size=”18px”]毎日丁寧な歯磨きをする
一日2~3回、歯ブラシでしっかりと磨きましょう。就寝前の歯磨きについては念入りに行い、歯ブラシ以外にデンタルフロスや歯間ブラシ、タフトブラシなどの補助器具を使うのも効果的です。生え変わりの時期は歯がデコボコして子供のみでは磨きにくくなるため、大人が仕上げ磨きをしてあげるのが大切です。

[jin_icon_tagcolor=”#d076a9″ size=”18px”]定期的に歯科検診へ行く
歯周病や虫歯などの症状が出てから行くのではなく、歯や歯肉の健康状態を保つために定期的に通いましょう。何かトラブルが起きていても、定期検診で早期発見されればすぐに対処することが可能です。

[jin_icon_tagcolor=”#d076a9″ size=”18px”]バランスの良い食事を摂る
栄養バランスや噛み応えのある食材を取り入れた食事を摂りましょう。

[jin_icon_tagcolor=”#d076a9″ size=”18px”]虫歯を放置しない
虫歯かな?と思ったら放置をせずに、すぐに歯科で治療を受けてください。乳歯は永久歯より小さいサイズということはエナメル質も薄いです。そのため、虫歯の進行速度も早くなります。

まとめ

歯が生え変わるのはなぜ?という問いに対して、体の成長に合わせてより強く大きな歯へと移行するための自然な仕組みだからと言えます。しかし、その過程でのケアが不十分だと、将来の歯並びや健康に大きな影響を与える可能性があります。

乳歯は一時的なものではありますが、永久歯の土台となる非常に重要な存在です。どうせ抜けるからと軽く考えず、しっかりとケアしていくことが大切です。子どもの健やかな成長のためにも、歯の生え変わりの仕組みを正しく理解し、日々のケアを心がけましょう。