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乳歯の後ろから永久歯が生えてきた場合の対処は?

乳歯の後ろから永久歯が生えてきた場合の対処は?

乳歯は通常、生後6ヶ月頃に生え始め、6歳頃には永久歯への生え変わりが始まります。しかし、時に永久歯が乳歯の後ろ、特に下顎の内側に生えてくる場合があります。このような状況が起こった場合、どのように対処すれば良いのかご説明します。

永久歯が生えても乳歯が抜けない場合のリスク

永久歯が乳歯の後ろから生えてくることはよくあることですが、乳歯が自然に抜けないまま放置すると、歯列の乱れや噛み合わせに悪影響を及ぼすことがあります。具体的には、次のようなリスクが考えられます。

歯列不正

乳歯と永久歯が同時に存在することで、他の歯の位置が押されてしまい、全体の歯並びが崩れる可能性があります。これにより、後々矯正治療が必要になるケースもあります。

噛み合わせの問題

正しい噛み合わせができないことで、顎関節に負担がかかることがあり、長期的には顎関節症のリスクが高まる可能性があります。

乳歯の後ろから永久歯が生えて来る理由

子供

乳歯が永久歯に生え変わる段階で、まだ乳歯が抜けていないのに乳歯の後ろから永久歯が生えてきてしまう現象は、子供たちが成長する過程でよく見られます。この現象は、いくつかの理由によって引き起こされます。

1. 乳歯の抜けるタイミング

永久歯が生える準備ができていても、乳歯がまだしっかりと顎の骨に固定されている場合、新しい歯は他の場所、特に後ろの方向にずれて生えることがあります。

2. 遺伝的要因

歯の生え方や顎の成長パターンは、遺伝的な要因によっても影響を受けることがあります。親や近い親族に同様の状況があった場合、子供にも同じような傾向が見られることがあります。

3. 歯列が混みあっている

顎のサイズに対して歯が大きい場合、または顎が小さい場合、歯が混みあった状態になっているため、永久歯が適切な位置に生えるのを妨げることがあります。これにより、永久歯が乳歯の後ろに生えることがあります。

4. 乳歯の早期喪失または遅延

乳歯が早期に抜けたり、逆に予定よりも長く残ったりすると、永久歯が生えるタイミングや位置に影響を与えることがあります。これにより、永久歯が予期せぬ位置に生える可能性があります。

5. 口腔衛生と栄養

歯磨きが上手く行えていなかったり栄養不足になっている場合、歯の健康に影響を与え、永久歯の生え方にも影響を及ぼす可能性があります。

乳歯がまだ抜けていないのに後ろから永久歯が生えてくることは、それ程珍しいことではなく、自然な成長プロセスの一部とみなされます。

ただし、特定の場合には、永久歯の位置の異常が将来的な歯並びや咬合に影響を及ぼす可能性があるため、歯科での適切な対処が必要になることがあります。

乳歯の後ろに永久歯が生えた時の一般的な症状

永久歯が乳歯の後ろから生えてくると、以下のような症状が見られることがあります。

1. 見た目の変化

口を開けた時に、乳歯の後ろに新しい歯が見える。

2. 違和感

新しい歯が生えてくることによる圧力で、子供が違和感や不快感を訴えることがあります。

乳歯の後ろに永久歯が生えてきた場合の対処法

小児歯科

乳歯がまだ抜けていないのに後ろに永久歯が生えてきた場合、親としてどのように対処すればよいか心配になるかもしれません。この状況は永久歯が乳歯の抜けるべき位置ではなく、その後ろに生える現象を指します。その場合の対処法についてご説明します。

1. 様子を見る

最初のステップとして、少し様子を見ることが推奨されます。多くの場合、乳歯は最終的に自然に抜けてしまい、永久歯が適切な位置に移動します。特に、永久歯が生え始めたばかりで、乳歯が少し動揺している場合は、自然に解決する可能性が高いです。

2. 乳歯を動かす

乳歯が少し動揺している場合は、乳歯を少し動かすことで、自然に乳歯が抜けるのを助けることができます。しかし、無理に抜こうとするのは避け、歯科医師の指示に従いましょう。

3. 毎日の歯磨きを丁寧に行い、口内を清潔にする

永久歯と乳歯の健康を維持するためには、毎日のデンタルケアが重要です。定期的な歯磨きとフロッシングは、乳歯が自然に抜けるのを助け、新しく生えてきた永久歯の健康を保つのに役立ちます。

4. 歯科医師の診察を受ける

乳歯がなかなか抜けず、永久歯が不適切な位置に生えてきた場合は、歯科医師の診察を受けましょう。歯科医師は、状況を評価し、必要に応じて乳歯を抜歯することを提案するかもしれません。これにより、永久歯が正しい位置に移動するのを助けることができます。

5. 定期的な歯科健診

歯科医師は、子供の歯並びや永久歯の成長を定期的にチェックすることを推奨する場合があります。これにより、将来的な歯列矯正の必要性を含め、適切な時期に対処できるようになります。

6. 歯列矯正の検討

乳歯が抜けた後に永久歯が不適切な位置に留まる場合、歯科医師は歯列矯正を推奨することがあります。これにより、歯並びや咬み合わせの問題を解決し、健康な口腔環境を保つことができます。

乳歯がまだ抜けていないのに後ろに永久歯が生えてきた場合、慌てることはありませんが、乳歯から永久歯への生え変わりに不安や疑問がある場合、または違和感が強い場合は、専門家の意見を求めることが重要です。

早期に歯科医を受診する重要性

永久歯が乳歯の後ろに生えてきた場合、まずは早めに歯科医を受診することが重要です。特に、以下の症状が見られる場合は速やかに対応することが推奨されます。

  • 乳歯がぐらぐらしているが抜けない場合
  • 永久歯がしっかり生えてきているが、乳歯がまだ抜ける気配がない場合

歯科医は、乳歯を抜くタイミングや永久歯の生え方をチェックし、必要に応じて乳歯を抜歯することで、永久歯が正しい位置に成長できるようサポートします。

乳歯の後ろから永久歯が生えてきた場合の対処に関するQ&A

乳歯の後ろから永久歯が生える現象は、どのような状況で起こりやすいですか?

この現象は、乳歯がまだ抜けていないにも関わらず、その後ろに永久歯が生えてくる状況を指します。これは乳歯の抜けるタイミングの遅れ、遺伝的要因、歯列の混み合い、乳歯の早期喪失または遅延、および口腔衛生と栄養状態の影響で起こります。特に、乳歯が固定されているときや顎のスペースが不足している場合にこの現象が見られます。

乳歯の後ろに永久歯が生えた場合、どのような歯科治療が考慮されますか?

乳歯の後ろに永久歯が生えた場合、乳歯がなかなか抜けない時には歯科医師による診察が必要です。歯科医師は状況を評価し、必要に応じて乳歯を抜歯することを提案するかもしれません。これにより、永久歯が正しい位置に移動するのを助けることができます。

乳歯の後ろに永久歯が生えた時の初期対処法として推奨されるのは何ですか?

乳歯の後ろに永久歯が生えた時の初期対処法としては、まず様子を見ることが推奨されます。多くの場合、乳歯は自然に抜けて、永久歯が適切な位置に移動するためです。乳歯が少し動揺しているなら、その乳歯を軽く動かして自然に抜けるのを助けることもできますが、無理に抜くことは避けるべきです。

まとめ

乳歯の後ろから永久歯が生えてくる状況は、子供の成長過程でよく見られる現象です。この段階で最も大切なのは、適切な口腔衛生の維持と、不安や疑問がある場合は迅速に歯科医師に相談することです。早期の対処と定期的な検診により、将来的な歯並びの問題を防ぎ、健康な歯を保つことが可能になります。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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