歯と口の基礎知識

親知らずはどんな時に抜歯が必要?

親知らずはどんな時に抜歯が必要?

親知らずは、第三大臼歯とも呼ばれ、大人になってから生えてくる永久歯です。しかし、その生え方や状態には個人差があり、痛みや炎症、隣の歯への悪影響など、様々なトラブルが発生することから、抜歯が必要になるケースも少なくありません。どのような場合に抜歯が必要になるのかご説明します。

親知らずとは?

親知らずは、第三大臼歯(wisdom teeth)とも呼ばれる最後に生えてくる永久歯です。通常、17歳から25歳の間に生え始め、成人期に至るまでに生えてくることが一般的です。しかし、生え方には個人差があり、生えてこない人もいれば、正常に生えてくる人もいます。

親知らずには、以下のような特徴があります。

1. 発生部位と本数

  • 親知らずは上下左右の奥歯、つまり第八歯として位置しています。
  • 通常、上下左右の4本が存在しますが、個人によっては1本も生えない場合や、4本以上生えることもあります。

2. 生え方の問題

  • 正常に生える場合・・まっすぐに生え、歯列の一番後方に問題なく並ぶ場合もあります。しかし、これは比較的稀なことです。
  • 埋伏歯(まいふくし)・・歯茎や骨の中に埋まったまま生えてこない状態です。これにより、痛みや炎症を引き起こすことがあります。
  • 部分的に生える場合・・部分的に歯茎の上に頭を出して生えてくることがあり、虫歯や歯周病を起こしやすい状態です。

歯の位置とスペースの問題

  • 親知らずは全ての永久歯よりも遅れて生えてくるため、生えるスペースが十分にない場合が多いです。そのため、生える際には隣接する歯を押して圧力をかけ、歯並びに悪影響を及ぼすことがあります。
  • スペース不足により、横向きや斜めに生えることが多く、これが痛みや炎症の原因となります。

進化の過程での変化

  • 人類の進化の過程で、食生活の変化により顎が徐々に小さくなってきました。そのため、親知らずが生えるスペースが不足しがちです。
  • 過去の人類は硬い食べ物を多く食べていたため、親知らずが必要でしたが、現代人は柔らかい食事を好むため、必要性が減少しています。

現代における親知らずの役割とは?

親知らずは過去の人類にとっては重要な役割を果たしていましたが、現代においてはほとんどの人にとって機能的な役割はなく、むしろ問題を引き起こすことが多いです。

1. 現代の食生活と親知らず

  • 柔らかい食べ物・・現代の食生活では、加工食品が増えたり柔らかい食べ物が好まれることにより、親知らずが必要な状況が減少しました。そのため、親知らずの役割はほとんどなくなりました。
  • 顎のスペース不足・・現代人の顎は小さくなり、親知らずが正常に生えるスペースが不足することが一般的です。これが問題を引き起こす要因の一つとなっています。

2. 医学的見解と親知らずの扱い

  • 親知らずの抜歯・・問題を引き起こす前に予防的な抜歯を行うことが推奨される場合があります。これは親知らずが将来的に痛みや炎症を引き起こすリスクを減らすという意味があります。
  • 定期健診と管理・・親知らずが問題を引き起こしていない場合でも、定期的な歯科健診で状態を観察し続けることが重要です。知らない間に虫歯になっていることもあり、必要に応じて適切な処置が行われます。

3. 親知らずの現代的な役割と問題点

1. 親知らずがあることのメリット

  • 代替の歯として・・他の歯が失われた場合、親知らずが正常に生えている場合には、代替の歯として機能することがあります。
  • 骨の維持・・親知らずが存在することで、顎の骨が一定の刺激を受け、骨の維持に役立つこともあります。

2. 親知らずの問題点

親知らずは正常に生えてこないことが多く、以下のような問題を引き起こします。

1. 正常に生えない

横向きや斜めに生えることがあり、これが原因で痛みや炎症が生じます。特に、完全に生えてこない埋伏歯は問題が多いです。

2. 隣の歯への影響

親知らずが隣の歯に押し付けられることで、他の歯にダメージを与える可能性があります。これにより、隣の歯の位置がずれたり、虫歯が発生したりします。

3. 歯肉炎や虫歯のリスク

親知らずの周囲は歯磨きが難しいため、歯垢や食べ物の残りが溜まりやすく、歯肉炎や虫歯のリスクが高まります。

親知らずの抜歯が必要なケース

親知らず

抜歯が必要となる具体的なケースを以下に挙げます。

1. 痛みがある場合

親知らずが正しく生えず、痛みや炎症を引き起こす場合は、抜歯が必要です。

2. 正しく生えてこない場合

親知らずが完全に生えず、部分的に歯肉に埋まっている場合、細菌感染のリスクが高くなり、抜歯が推奨されます。

3. 虫歯や歯肉炎を引き起こしている場合

親知らずやその周囲が虫歯や歯肉炎を起こしている場合、他の歯や歯肉の健康を守るために抜歯が必要です。

4. 矯正治療のために抜歯が必要な場合

矯正治療の一環として、親知らずが他の歯の移動を妨げる場合、抜歯が必要となることがあります。

親知らずの抜歯の方法と流れ

抜歯にはいくつかのステップがあります。

1. 抜歯前の準備

  • 事前の検査やレントゲン撮影を行い、位置や状態を確認します。
  • 抜歯の日程を決め、必要な薬の準備をします。

2. 抜歯の手順

  • 麻酔を使用して痛みを感じないようにします。
  • 位置や状態に応じて、歯を分割して取り除くこともあります。

3. 抜歯後のケアと注意点

  • 抜歯後は出血を抑えるためにガーゼを噛みます。
  • 痛みや腫れを抑えるために氷嚢を使用したり、医師の指示に従って薬を服用します。

親知らずの抜歯に関するよくある質問

1. 抜歯は痛いのか?

麻酔がしっかり効いているため、抜歯中の痛みはほとんど感じません。ただし、麻酔が切れた後の痛みや違和感はあります。

2. 抜歯後の痛みや腫れはどのくらい続くのか?

抜歯後の痛みや腫れは通常数日から一週間程度で治まります。冷やしたり、医師の指示に従ってケアを行うことが重要です。

3. 抜歯後の食事や生活の注意点は?

  • 抜歯後は、柔らかい食事を摂るようにしましょう。
  • アルコールや喫煙は控え、口内を清潔に保つために軽いうがいを行います。

まとめ

親知らずは、古代の人類にとっては重要な役割を果たしていましたが、現代においてはその必要性が大幅に減少しています。現代人は進化の過程で顎が小さくなり、親知らずが正常に生えるスペースが不足することが多いため、抜歯が必要になるケースが増えています。親知らずが問題を引き起こす前に、定期的な歯科健診を受け、適切な対応を取ることが大切です。

この記事の監修者

医療法人真摯会
西宮クローバー歯科・矯正歯科 院長
廣石 勝也
朝日大学歯学部卒業。大阪歯科大学総合診療科臨床研修終了。国際口腔インプラント学会会員。

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